『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!
- 『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!
はじめに
苫米地英人著「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」を紹介します。
コーチングの知識を中心とした自己啓発本で、とても興味深く簡潔で読みやすい、それでいて内容も深いものとなっています。
苫米地英人氏について
苫米地英人氏について簡単にご紹介します。
1959年東京生まれで、認知機能学者(機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学)であり、計算機科学者(計算機科学、離散数理、人工知能)です。
カーネギーメロン大学博士で、様々な会社の役職についています。
広く知られるところでは、数多くのオウム信者の洗脳を解いた人として有名です。
雑誌「サイゾー」のオーナーでもあります。
宗教にも詳しく、天台宗で得度(出家して受戒すること)しています。
度々テレビ出演などもしていますし、YouTubeにも動画が多数掲載されています。
IQの高さとブレない信念ゆえに傲慢で上から目線な印象もありますが、科学的な裏付けによる言説は私達に様々な気づきを教えてくれます。
日本が世界に誇る重要人物と言えるでしょう。
「『頭のゴミ』を捨てれば、脳は一瞬で目覚める!」について
さて、本題の本の内容について考察していきます。
この本は頭の中にある雑念や悩みを捨てて、集中力、思考力、生産性、生きる充実感を上げるための方法論が書かれています。
Step.1からStep.8まで、8回に分けて紹介していきます。
Step.1「イライラ、怒り、嫉妬‥‥生産性を下げる『感情のゴミ』を捨てる」
Step.1-1 “やる気スイッチ”は必要ない
生産性が落ちてきたからと言って、一時的な“やる気スイッチ”(例えば歯磨きをして気分転換をはかるなど)を入れる対症療法では繰り返しの無限ループに陥ってしまう
頭のゴミを根元からごっそり捨てて、根本治療をすることが必要である
Step.1-2 感情的な人の脳はサル・ゴリラレベル
人間は感情から強い支配を受けている
感情をつかさどるのは、大脳辺縁系の扁桃体という古い脳
扁桃体は本能的な恐怖や嫌悪、悲しみなど生命を維持していくのに必要な感情をつかさどっている
これに対し、論理的な思考や理性をつかさどるのが前頭前野という新しい脳
感情に支配されて生きている人は、新しい脳より感情をつかさどる古い脳に支配されているわけだから進化の度合いで言えばサルやゴリラに近い
Step.1-3 感情にひたるな
感情とは、環境の変化によって生じる生体反応
生体反応はホメオスタシスの中でも抽象度の低い活動
感情はすべてが単なる生理反応であり、感情に振り回される人を「抽象度が低い」という
Step.1-4 抽象度が低い人は感情に支配されている
万物は情報の多寡で階層化できる
情報量が多い場合は「抽象度が低い」、情報量が少ない場合は「抽象度が高い」といえる
「Aさん ⇒ 日本人 ⇒ 人類 ⇒ 生物」とすると、右に行くほど抽象度が高い
抽象度を上げていくと視点も上がり、視野も広がる
抽象度(視点)が低いと視野が狭くなり、感情に支配される
抽象度(視点)が高いと視野が広くなり、感情から受ける影響を抑えることができる
つまり視点を上げ客観視し、視野を広げていくことが重要である
残念ながら多くの人は目先の情報に追われ、抽象度の低い状態で生きている
感情の支配から抜け出すには、抽象度を上げることである
要は前頭前野の働きによって扁桃体に介入する
Step.1-5 ゴールと関係ないものはゴミ
抽象度を上げて感情と言うゴミを捨てるには、ゴールを持ち常にゴールのために行動することが必要である
ゴールとは自分が重要だと考えている目的や目標のことである
目的や目標があれば視点が上がる、つまり抽象度が上がる
心底実現したいことがあるときに感情に振り回されることはない
それがゴールを持つ人の強さである
自分が本当に実現したいゴールを意識し、ゴールに向かって進もうとすれば頭のゴミはかなり減る
ゴールがなく、一瞬一瞬がゴールのためでないから感情に振り回されてしまう
Step.1-6 幸福感を目的にするな
「楽しい」「嬉しい」「幸せ」といった感情そのものを目的とすることも、たとえプラスの感情であってもゴミである
これらの感情は手に入れたと思ったら消えてなくなる
一生その繰り返しである
目指すべきは気分ではなく、ゴールである
ゴールに向かう道程には小さなゴールがたくさんある
そのようなゴール実現に価値のあることに遭遇した時は、「楽しい」「嬉しい」「幸せ」といったポジティブな感情を存分に味わえばよい
ただしそこで立ち止まってはいけない
抽象度の高い素晴らしい仕事をしている人たちが目指しているのは常にゴールであり、ゴールに近づく副産物として「楽しい」「嬉しい」「幸せ」などのプラスの感情をさらなる前進のモチベーションとしている
抽象度の高いゴールに向かって生きている人は、苦しさも楽しさも関係なくただひたむきに生きている
ゴールに関係ないものはすべて「ゴミ」であり、何かを選択するときもゴールに意味がある、より近づけるといったことを基準に合理的に判断する
Step.1-7 すべての感情を娯楽にせよ
よほど心の修練を積んだ人を除いて感情が生じるのを止めることはできない
人間は感情が生じるのが自然である
「感情に振り回される」というゴミを捨てるコツは、すべての感情を娯楽にすることである
小説や映画で生じる感情は娯楽である
感情に振り回されずに娯楽にして味わえば、すでに抽象度は上がっている
Step.1-8 ゴールに意味のある感情のみ許せ
「ゴールに無意味な感情は自分に許可しない」というルールを課す
つまり前頭前野で介入する
するとゴールに無意味な感情のゴミは自然と消えていくようになる
「すべての感情を娯楽にすること」「ゴールに無意味な感情は捨て、ゴールに意味のある感情だけマイナスの感情も含めて味わうこと」が感情のゴミを捨てるコツである
その基本にあるのは抽象度を高く上げてゴールを設定し、すべての行動をゴールのために行うことである
Step.1-9 感情の波のもとを止めて観る
「止観」とは「摩訶止観」という仏教書に書かれている、煩悩を止めて観る方法である
感情の暴走の始まりを意識するためには、自分の感情の動きを客観的に眺めてみればよい
止観では感情の動きを意識に上げることが重要だから、できるだけ詳細に、分析的に、感情の動きの理由を考える
止観によって感情の動きを止めて観るということは、「抽象度の上がった世界から眺める」ということである
そうすれば努力するまでもなく、自然と感情はコントロールされる
Step.1-10 自己チューな人ほど深く傷つく
私たちは生きている限り心に傷を負う
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こすような衝撃的な心の傷は、トラウマ(心的外傷)と呼ばれる
トラウマになるかならないかは、本人にとっての理不尽度で決まる
理不尽度の差は、自己責任感の大小である
ショックな出来事に対して「自分にも責任がある」と感じる人は、心の傷が深くならない
相手を責めるだけの人は「自分中心の人」である
自分中心な人は、同じ出来事を前にしても自分中心でない人より心の傷は深くなる
そしてその傷に長くとらわれることになる
私たちは生きていく以上、様々な理不尽を引き受けなくてはならない
それが生きていくということである
様々な理不尽を引き受け、この世界の理を踏まえて生きていく心構えのことがここでいう「責任」である
Step.1-11 抽象度を上げれば心の傷は早く癒える
すべての病気は自己表現である
病気の症状と言う苦しさを抱えながらも抽象度を上げ、自己中心的でなくなれば、心の傷はもはやトラウマでなくなり病の症状は消える
抽象度が上がるほど視界の中にたくさんの他人が入る
抽象度を上げれば心の傷を負っているのは自分だけでなく、誰でも心の傷を抱えて生きていることが分かる
抽象度を上げることで、私たちは自分中心であることから解放される
心を傷つけられることがあっても、その感情に振り乱されることがなくなる
Step.1-12 やりたいことをやればこそ脳は目覚める
本当のゴールとは、自分が心から実現したいゴールである
自分が心からやりたいことに向かっているなら、常に密度高く集中して仕事を進められる
やりたいことをやるから、集中力も、生産性も、能力も上がり、マイナスの感情に振り回されることもない
やりたいことをやるから、その結果として「楽しさ」「嬉しさ」「幸せ」などのプラスの感情が湧く
感情の乱れに支配されているあなたにとって、まず必要なのは心から望むゴールを持つことである
Step.1のポイント
・感情に振り回されるのはゴールがないから
・すべての感情を娯楽にせよ
・ゴールに意味のある感情だけを自分に許可せよ
以上がStep1の大まかな内容です。
学者、それも科学者であるが故にドライな論調は否めませんが、「抽象度を上げて客観視することで感情をコントロールし、心から望むゴールに向かって行動する」ということが脳をスッキリさせて目覚めさせることだということがわかりました。
ともすればロボットのような人間味のない人になりそうですが、自己実現のために参考になる内容でした。
Step.2が次回のテーマとなります。