中華人民共和国について
中華人民共和国の歴史
中華人民共和国(以下、中国)は、社会主義国家であり、中国共産党1党独裁の多民族国家です。
人口は世界一の13憶8千万人以上です。
指導者により、3つの時代に分類することが出来ます。
1949年~1978年の毛沢東時代と、1978年以降の鄧小平時代、そして2012年からの習近平時代です。
毛沢東時代は、中国共産党を軸とした世界革命路線を推進しました。
1972年9月29日に田中角栄首相と日中国交正常化を果たし、資本主義諸国との関係を改善しました。
犠牲者が数百万人から1000万人以上出たと言われる文化大革命は、1976年毛沢東が死去すると共に終結しました。
また、自国民を虐殺したポル・ポト派の支配下にあったカンボジアは、文化大革命中の中国の有効勢力でした。
鄧小平時代以降は、中国共産党1党体制を維持しながらも市場経済を導入し、経済開放政策を取りました。
1980年代以来の経済の改革開放により、「世界の工場」と呼ばれるほど経済が急成長しましたが貧富差の拡大や環境汚染の問題が深刻化しています。
この時代は日本の高度成長期を手本とし、日本の財界からも多大な支援を受けています。
1989年6月4日には民主化運動の天安門事件が起こり、中国人民解放軍が武力で鎮圧し多数の死傷者が出ました。
天安門事件から江沢民が台頭し、共産党の独裁体制を維持しながら改革開放を継承し、事実上の自由主義経済に舵を切りました。
2004年3月全国人民代表大会で、憲法が改正され「マルクス・レーニン主義」「毛沢東思想」「鄧小平理論」に加え「江沢民3つの代表理論」が国家理念として制定されました。
1999年6月より、法輪功という気功を学ぶ団体を危険な邪教として弾圧し、投獄し迫害しています。
また、2006年3月に、法輪功学習者を投獄、殺害して不法に臓器を取り出していると報じられました。
2008年3月14日、チベット自治区ラサで中国政府に対する僧侶などの一般市民の抗議行動を中国人民武装警察部隊が鎮圧し、多数の死傷者が出ました。
2009年7月5日に新疆ウイグル自治区ウルムチ市で起きた騒乱で治安部隊がデモ隊に発砲し、多数の死傷者が出ました。
江沢民から胡錦涛、そして2012年11月15日から習近平が共産党総書記、中央軍事委員会主席となっています。
一帯一路という経済圏構想を提唱しアジアインフラ投資銀行(AIIB)の開業(日米不参加)、そして2018年からは米国のドナルド・トランプ大統領との間で米中貿易戦争が深刻化しています。
中国に結党の自由はなく、憲法より上位に中国共産党が存在しています。
中国共産党は、最高指導集団である中央政治局常務委員会が権力を掌握する構造となっています。
8人の常務委員の序列第1位が、習近平です。
覇権主義の中国
中国の覇権主義は、領有権を主張し対立を煽っています。
日本の尖閣諸島、中華民国(台湾)、西沙・南沙諸島です。
東シナ海ガス田問題では沖縄トラフまでの権益を主張し、海軍を配置して強硬に開発を推し進めました。
日本は1979年以降、中国へのODA(途上国援助)で40年で3兆6500億円余りを支出しています。
軍事力、経済力で米国を抜こうとしているのが現状です。
台湾を常に注視している
中華民国(台湾)を武力衝突無しに、なし崩し的に統合しようとする狙いがあります。
知財
特許権や著作権などの知的財産権では知財を侵害するだけしておいて、自国の技術が高くなってきたところで特許などの保護を強化する政策を進め、米国との間で訴訟合戦となっています。
ファーウェイ問題
ファーウェイの携帯電話などは、スパイウェアが組み込まれているとして問題となりました。
世界各地にローカライズした低価格帯から高価格帯までバリエーションのある製品を投入することで、スマートフォンではサムスン、アップルに匹敵するシェアを獲得するようになりました。
私は国益を考えて自国製品を買いたいので、ファーウェイは選択肢にありません。
ファーウェイの技術力はかなりのものですので、中国に寛容な国についてはファーウェイ製品があふれることになるでしょう。
マンパワーが半端ではありません。
ファーウェイの頭脳ともいえる傘下のハイシリコン テクノロジー社のチップは、アメリカのクアルコムのチップを凌駕する勢いです。
米国はファーウェイを徹底的に排除する政策をとっていましたが、2019年6月29日大阪での20カ国首脳会議(G20 サミット)においてファーウェイ製品の禁輸措置を解除する考えを明らかにしました。
しかし、状況は2転3転しています。
中国の出方次第で今後も変化があるでしょう。
注視していきたいと思います。
ビッグデータと特許
膨大な人口によるビッグデータ収集という強みを生かして、AIの分野でも米国と激しく争っています。
2017年、中国の特許出願数は、日本を抜いて米国の1位に次ぐ2位になりました。
企業の出願数の1位はファーウェイです。
知財の分野でも脅威となっています。
まとめ
日本としては中国を特に注視していく必要があります。
貿易における米中戦争が激しさを増す中、日本としては現在軍事については米国に頼らざるを得ないので米国のご機嫌を伺いつつ、中国とは貿易でより良い交渉をして有利な立場を維持すべきです。
米国につくのか、中国につくのかではなく、ダブルスタンダードでのらりくらりと立ち回るのが国益でしょう。
中国は言論統制を敷いているため言論の自由も無く、すぐ武力行使に訴えるならず者国家ともいえます。
中国にしてみれば、世界最大の人口をかかえ、それを束ねるために様々な苦渋の決断をしてきたのでしょう。
さらには、中国国内には貧困・飢餓がまだまだ残っています。
それを何とか改善したいのでしょう。
しかし、香港やウイグル、チベットの状況を見てもわかるように人権を無視して押さえつけるやり方は国際社会が許さないでしょう。
資本主義が貧富の格差で行き詰まりを見せています。
中国共産主義でも貧富の差が明らかになってきています。
社会主義は明らかに間違いだと考えますが、共産主義と資本主義のいいところをとってハイブリッドなイデオロギーが生まれ、平等な共存・共栄の未来を人類みんなで創っていかなければなりません。
そのために、できることは何があるのか。
一緒に考え、実践していきましょう。
追記
ファーウェイに対して、ヨーロッパは寛容な立場を取りつつありましたが、情勢は不安定な状況です。
しかし、今後中国が5Gにかかわらず、ハイテク全般ににおいて台頭していくことに間違いはないでしょう。
世界が米国と中国の支配に2分化されていくのか、要注目です。
日本は米国と中国の板挟みですが、少なくとも貿易面では中国と手を繋いだほうが賢明と思われます。
【 2020年2月29日加筆訂正 】