統合失調症について
この記事は、2021年3月18日に更新しています。
概要
私は妄想型統合失調症の当事者です。
統合失調症はめずらしい病気ではなく、割合としては100人に1人くらいの割合でかかる病気です。
原因はストレス、遺伝、環境、人為的な機器によるものなど複合的なものと言われています。
症状
脳内の神経伝達物質のバランスが崩れることで症状が現れます。
陽性症状として幻覚(幻視・幻聴など)や、妄想が現れます。
幻視で客観的におかしな行動を取ることは基本的にありません。
気を付けなければいけないのが幻聴です。
私の場合は病識がなかったので、幻聴の声に従ってしまった経験があります。
詳しくは以下のブログを参照してください。
Isamuの軌跡 #10 - Isamu's Blog『Reboot』
Isamuの軌跡 #11 - Isamu's Blog『Reboot』
陽性症状としては
・幻聴に起因する被害妄想
・考察察知(自分の考えが他人に知られていると考える / テレパシーができている)
・境界障害(自分と他人の境界が不明瞭になり、人格が乗っ取られるように感じる)
・関係妄想(起きたことに対して特別な意味付けを行い、関連付けてしまう)
・世界没落体験(自分が死なないと地球が爆発すると考えた)
・自我インフレーション(自分には特別な力があり、選ばれた人間であると考える)
といったものがありました。
陰性症状としては
・感情鈍麻(喜怒哀楽の表現が乏しくなり、意欲や気力が低下する)
・認知機能障害(思考力が低下する)
といったものがありました。
病状
病状が重いときは、苦しい夢を見ているような状態です。
地獄の中に放り込まれたような体験です。
私は発症してから最初は鬱病という診断をされていたので、2年ほどレキソタン(ブロマゼパム)というベンゾジアゼピン系の抗不安薬だけで病気に耐えました。
急性期の状態になり自殺未遂をして医療保護入院になったとき、初めて統合失調症の診断が下りました。
藁にもすがるような思いで、フロイトのことが少し頭にあったので自分の似顔絵を描いて主治医に持って行ったことがあります。
大変不思議がられました。
非定型抗精神病薬のジプレキサ(オランザピン)を処方されましたが、症状はあまり良くなりませんでした。
薬の副作用がひどく、アカシジア(その場にじっとしていられなくなる)により夜も眠れず1晩中徘徊していました。
また食欲中枢がおかしくなり、3ヶ月の入院で10kgも太ってしまいました。
退院してネットを調べまくり、当時新薬のエビリファイ(アリピプラゾール)に処方を変更してもらいました。
同じくアカシジアに悩まされましたが、症状は大分改善されました。
しかし、副作用で不眠、ジスキネジア(口や舌が勝手に動く)に悩まされました。
エビリファイは10年以上服薬し、持続性の注射であるデポ剤(1回の注射で4週間効果が継続する)に変更しました。
不眠とジスキネジアの副作用を止めるため、エビリファイと同じ大塚製薬の新薬のレキサルティ(ブレクスピプラゾール)に変更してもらいました。
発売当初(平成30年4月)からを経口で服用しています。
2mgではジスキネジアが収まらなかったので、1mgにしてもらいました。
しかし、結局怠薬をしてしまい、任意入院で薬剤を大幅に変更されてしまいました。
経過
統合失調症は、前兆期、急性期、休息期、回復期の4つの経過をたどります。
問題となる状況は急性期です。
思考力、判断力の低下が起こります。
心神耗弱の状態です。
かなり危険な状況と言えます。
それを超えてしまうと、ピーク時には発狂したような状態になります。
いわゆる心神喪失の状態です。
こうなったとき、攻撃性が自他に向かうときがあります。
自分なのか、他人なのかはその人が普段考えている思考が影響すると考えます。
攻撃が自らにいくと自殺の方向に行きますし、普段「あいつは死んだらいいのに」など、恨みつらみのルサンチマンを持つ人は攻撃が他者に向かうことがあります。
急性期に適切に対処することが重要です。
急性期以外は、統合失調症の当事者に危険性は有りません。
しかし、世の中の差別・偏見は無くなっていません。
そういったスティグマ(偏見)を無くすために、活動していきたいと考えています。
統合失調者の良い面
統合失調症は、悪い側面だけではありません。
薬物を用いることなく、言葉では表現しづらい感覚を度々体験します。
感動したとき、「ジーン」とする感覚がわかりますでしょうか。
それに近い感覚が訪れることがあります。
仲間と共感したとき(WRAP「元気回復行動プラン」のファシリテーター研修の時)や、新しい発見(知らない言葉が降りてきたとき)があったときなどです。
寝ていて、浅い眠りで夢をみているときにも起こります。
そのときには、涙が出ていることもあります。
薬物ではLSDの体験が近いものがあると考えています。
チャネリングやテレパシーといった体験もしたことがあります。
LSD
LSDの体験にはグッドトリップとバッドトリップがありますが、統合失調症の当事者は、状態が良くない状況だと軽いバッドトリップがずっと続いているといった状態だと考えます。
急性期は重いバッドトリップ状態だと言えます。
LSDはセロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンといった脳内の神経伝達物質によく似た構造を持ちます。
Wikipediaのスタニスラフ・グロフのページを参考にしてください。
LSDは、日本では麻薬及び向精神薬取締法による取締りの対象となります。
違法薬物には手を出さないようにしましょう。
最後に
統合失調症の当事者は、正直すぎると言われているそうです。
私もその傾向が強いように思います。
正直者は馬鹿を見るということも言われますが、わたしはその典型かもしれません。
最後に、統合失調症に対するスティグマ(偏見)が無くなること、利他の精神が広がることを切に望みます。
【2021.3.18加筆訂正】